協調設計
内部機密 STRICTLY CONFIDENTIAL
▲ 内部漁夫の利作戦 改訂版 ― 新情報を踏まえた戦略転換
北洋銀行 行内協調設計スキーム
高原 竜治 × 大谷 航平 ― 最適役割分担と融資承認構造
南小樽病院 M&A 案件|鳳應会 近澤徹 内部戦略文書
高原は「止める権限」を持ち、大谷は「通す実行力」を持つ。
二人を競わせるのではなく、二人を同じ方向に向かわせる。
近澤は、その構造を設計するだけでよい。
SECTION 01
新情報:プレーヤー詳細判明
当初の「内部漁夫の利作戦」は、小樽中央支店長と本店担当者の対等な競争を前提としていた。しかし、今次調査により両名の実像が判明し、戦略の根本的な再設計が必要となった。
甲
組織上位者
高原 竜治
執行理事 / 小樽中央支店長兼手宮支店長兼小樽駅前支店長委嘱
組織序列執行理事(役員準拠)
管轄3支店同時統括
関係債権既存5.21億円(青優会)
主要利益5.21億の確実な全額回収
権限案件を止める力を持つ
面子3支店にわたる実績・貢献
乙
実動推進者
大谷 航平
本店営業部 法人業務 / 2015年入行(入行11年目)
組織序列担当者〜課長代理クラス
キャリア石山通/倶知安/円山公園/融資部/本店営業部
最大の強み融資部経験+人脈
主要利益15億円案件の起案実績
権限起案・融資部稟議の実動
反応同日コールバック・かなり乗り気
融資部経験の意味:大谷は融資審査の内部論理を「やる側」として熟知している。稟議書の通し方、リスク表現の調整、審査担当者との関係構築――これらを自分で設計できる。彼が「乗り気」なのは感情ではなく、「この案件は通せる」という専門的確信である可能性が高い。
SECTION 02
戦略転換の理由 ― なぜ競争誘発を止めるのか
旧戦略(内部漁夫の利)
前提:高原=支店長レベル
大谷 vs 高原を競わせる
近澤が最良条件を「選ぶだけ」
競争でより良い条件を引き出す
問題:高原は執行理事。競争を仕掛けた瞬間、感情的に案件全体を潰す権限を持つ
転換
新戦略(役割分担協調型)
前提:高原=執行理事(役員準拠)
高原=行内統括スポンサー
大谷=融資部稟議の実動者
両者に「それぞれの勝ち」を設計する
優位:高原が反対する理由を消し、大谷が動く動機を維持。審査承認の確度が大幅上昇
ゲーム理論的説明:漁夫の利は「競争する二者が同等の力を持つ」ことを前提とする。今回、高原(執行理事)と大谷(担当者)は対等ではない。高原が案件を潰せば大谷も動けない。よって「競争させる」より「共同推進させる」の方が、近澤の期待利得が高い。
SECTION 03
最適役割設計 ― 三者の機能分担
行内協調構造図(近澤が設計し、銀行が実行する)
行内統括スポンサー
高原 竜治
執行理事として案件に
「行内お墨付き」を与える
青優会との関係調整
5.21億回収の取りまとめ
✦ 既存債権の全額回収
✦ 執行理事として案件関与の実績
✦ 3支店統括の貢献として記録
⇄
設計者・調整者
近澤 徹
両者の役割を
あらかじめ設計する
利益相反を生まない
情報を選択的に開示
✦ 最良融資条件の獲得
✦ 融資承認の最短経路
✦ 案件の円滑なクロージング
⇄
実動起案者
大谷 航平
融資部に稟議を通す
審査担当者との折衝
条件設計・書類整備
スケジュール管理
✦ 15億円案件の起案実績
✦ 本店営業部での評価向上
✦ 融資部人脈の活用機会
| プレーヤー |
与えるもの(役割) |
得るもの(報酬) |
反対する理由 |
| 高原 執行理事 |
行内統括・青優会調整・担保解除協力 |
5.21億全額回収・執行理事としての案件関与実績 |
近澤が「脇に置く」と感じさせたとき最大リスク |
| 大谷 (本店) |
融資稟議・審査対応・条件交渉実務 |
15億円大型案件の起案者として行内評価 |
高原が邪魔をするとき / 他行に奪われるとき |
| 近澤 / 鳳應会 |
資料提供・面談設定・意思決定の明確化 |
最良融資条件・最短承認・全員の協力 |
― |
| 北洋銀行全体 |
新規15億円融資の実行 |
既存5.21億回収 + 与信残高9.79億純増 |
リスク審査が通らないとき |
SECTION 04
各プレーヤーへの具体的アプローチ
4-1 | 高原 執行理事へのアプローチ
高原は「自分が関与する案件」として認識させることが最重要。「大谷の案件に協力を求められている」と感じた瞬間に感情的抵抗が生まれる。「高原執行理事が推進する案件に大谷を使う」という構造に逆転させる。
「高原執行理事、本件をご説明させていただきたいと思います。
鳳應会として青優会様の円滑な事業承継を実現するにあたり、
既存与信5.21億円の確実な全額回収と担保解除が大前提となっております。
小樽中央支店様のご協力なしにはこの案件は成立しません。
高原執行理事のご主導のもと、北洋銀行全体として推進いただけるのであれば、
本店営業部の大谷様にも実務面で動いていただく体制を整えたいと考えています。
執行理事として本件にお名前を連ねていただければ、
行内での案件承認スピードも格段に上がると確信しております。」
▲ ポイント:「主導」「お名前を連ねる」という言葉で格付けを明示。高原を統括者に位置づける。
4-2 | 大谷(本店営業部)へのアプローチ
大谷の功名心は引き続き活用する。彼の融資部経験を「最重要な武器」として持ち上げつつ、高原との協調体制を「むしろ大谷に有利な構造」として説明する。
「大谷さん、先日はお時間ありがとうございました。
融資部のご経験をお持ちと伺い、本件をお任せできると確信しております。
実は、本件を行内で最速に通すために、
高原執行理事にも全体調整役として加わっていただく形にしたいと思っています。
執行理事が関与している案件として融資部に上がれば、
大谷さんの稟議もより通りやすくなると思いませんか?
起案は大谷さんに主導していただく。高原執行理事には行内の統括をお願いする。
この構造なら、大谷さんの実績として15億円案件が確実に残ります。」
▲ ポイント:「大谷さんに有利」という伝え方で、高原の参加を歓迎させる。起案者の立場は守る。
情報開示の原則:高原に大谷の具体的な動きを詳しく伝えない。大谷に高原の条件感を詳しく伝えない。近澤は「両者が協力すれば最速で通る」という共通メッセージのみ管理する。競争ではなく、協調のための情報の非対称性を維持する。
SECTION 05
融資承認プロセス設計 ― 大谷の融資部人脈を活かす
大谷が融資部出身であることは、通常の本店営業部担当者では得られない優位性をもたらす。この経路を近澤が意識的に活用する。
①
STEP 1 ― 今週中
高原執行理事・大谷双方への個別面談設定
高原には「執行理事として統括をお願いしたい」、大谷には「起案主導をお願いしたい」と別々に伝える。この時点では両者を同席させない。各自が「自分が主役」と思う状態を作る。
近澤の行動:個別面談アポイント取得
②
STEP 2 ― 面談後
大谷に「融資部への非公式相談」を促す
大谷の融資部人脈を活用し、正式稟議の前に「この案件の審査ポイントは何か」を元同僚ベースで確認させる。審査で引っかかるポイントを事前に潰す。近澤は資料面でのサポートを全面提供する。
大谷の行動:融資部元同僚への非公式照会
③
STEP 3 ― 1〜2週間後
高原・大谷合同の行内説明会(内部共有)
両者が合意した段階で、初めて同席の場を設定。高原が「行内統括者」として冒頭挨拶し、大谷が「案件詳細説明者」として実務を担う。この役割分担を自然に演出する。近澤は「お客様」として中央に座る。
設計:高原が開会、大谷が説明、近澤が補足
④
STEP 4 ― 正式稟議
執行理事名義での行内推進 + 大谷稟議
大谷が起案する稟議書に、高原執行理事のコメント・支持を添付する形が理想。審査部は執行理事が推す案件を慎重に扱うが、基本的には「リスクを管理できる形に整える」方向で動く。WAM・他行の競合という外部圧力も最終条件交渉で活用可能。
稟議:大谷起案 + 高原サポートコメント
SECTION 06
近澤の具体的発言テンプレート集
状況A | 大谷が「高原と話してほしい」と言ってきた場合
「もちろんです。高原執行理事にも早めにご挨拶させてください。
ただ、まずは大谷さんと案件の骨格をしっかり詰めてから、
執行理事には統括者としてご報告・ご確認いただく形にしたいと思います。
大谷さんの起案が先にあっての統括、という流れの方が行内でも整合的かと。」
▲ 大谷の「起案者」ポジションを守りつつ、高原への接触も確保する。
状況B | 高原から「大谷に任せてある」と言われた場合
「ありがとうございます。大谷様にはご尽力いただいております。
ただ、本件は青優会様の既存与信の扱いが非常に重要でございまして、
そこは高原執行理事にしか判断いただけない部分がございます。
クロージング前に一度、担保解除・返済スケジュールについてご確認いただければ幸いです。」
▲ 高原を「任せっきり」にさせない。クロージングまで関与を継続させる。
状況C | 金利条件が物足りない場合(他行・WAM競合の示唆)
「大谷さん、正直に申し上げると、他の金融機関からもご提案をいただいている状況です。
ただ、私どもとしては北洋銀行さんと長期的なお付き合いをしたいと思っています。
御行として最大限の条件をご提示いただけるのであれば、
他をお断りして北洋銀行さん一本に絞る判断をしたいと思っています。」
▲ 「競合の存在」は示唆するが具体的条件は絶対に明かさない。大谷が行内で動く動機を維持する。
SECTION 07
リスク管理
高リスク 25%
高原が「自分は関係ない」と距離を置く
対策:「青優会の担保解除は高原執行理事なしには進まない」という実務的必然性を明示する。高原抜きでは物理的に成立しない局面を作る。
中リスク 20%
大谷と高原が直接衝突し案件が止まる
対策:近澤が両者の間に立つ。「銀行内部の話は銀行で整理いただければ」と伝えつつ、個別に調整。両者が直接交渉する場面を極力避ける。
中リスク 20%
融資部が案件リスクを理由に否決
対策:大谷の融資部人脈で事前照会。引っかかるポイントを先回りして資料で解決する。WAM・清算価値試算書など近澤側の資料を積極提供。執行理事サポートで上位審査ルートへ。
低リスク 15%
大谷が単独で進めすぎて高原が怒る
対策:近澤が大谷へのブリーフィング時に「高原執行理事への定期報告を忘れずに」と明示。高原の情報から遮断されたと感じさせない。
低リスク 10%
高原が本件をひっそり「主管案件」として乗っ取る
対策:これは実は問題ない。高原が主体的になるほど、承認確度は上がる。大谷の実績ポジションが多少下がるが、近澤の目的(融資獲得)は達成される。
低リスク 10%
北洋銀行が行内調整に時間がかかりすぎる
対策:「他行も並走しており、〇月末までに意向確認をいただかないと難しい」という期限を設定する。外部プレッシャーで内部調整を加速させる。
SECTION 08
全体シナリオ確率と期待値
本戦略(行内協調設計)を正しく実行した場合の各シナリオ確率と近澤側の期待値。
| シナリオ |
条件 |
確率 |
近澤の得るもの |
A+ 最善 |
高原・大谷協調成立 + WAM競合でさらに金利交渉 |
35% |
金利1.0〜1.3%(政策金融並み)・行内最速承認・長期関係構築 |
A 成功 |
高原・大谷協調成立 + 北洋銀行標準条件 |
40% |
金利1.3〜1.8%・通常承認・追加交渉余地あり |
B 部分成功 |
大谷単独推進・高原は中立(賛否なし) |
15% |
金利1.8〜2.2%・承認に時間・条件再交渉必要 |
C 失敗 |
高原が反対 or 融資部否決 |
10% |
北洋銀行断念 → 他行・WAMへ切り替え(代替案あり) |
期待値:A+(35%)+ A(40%)= 75%の確率で北洋銀行での融資成立。旧・漁夫の利作戦(高原を刺激するリスクがあった)より期待値が有意に高い。シナリオCでも代替案(WAM・他行)が存在するため、致命的リスクにはならない。
── 設計の核心 ──
高原 執行理事は「止める権限」を持つ。
大谷は「通す実行力」を持つ。
二人は競争相手ではなく、補完関係にある。
近澤がすべきことは、高原に「反対する理由を与えない」こと、
そして大谷に「動く理由を与え続ける」こと。
その設計が完了したとき、融資は自然に動き始める。
競わせるのではなく、方向を揃える。それが今回の解である。
南小樽病院 M&A | 鳳應会 近澤徹 | 2026-07-27